半紙の裏表については、これから書道を始めるうえで身につけておきたい知識のひとつです。学校で習った習字についてはもう忘れてしまい、どちらが裏表かわからず困っている人も多いかもしれません。この記事では、半紙における裏表の基礎知識を整理したうえで、渇筆(かっぴつ)の特徴や、適した紙の選び方を紹介していきます。
半紙の裏表の知識!上級者は裏を使うもの?
書道において知っておきたいことのひとつに、半紙の裏表があります。どちらが表なのか、そして裏なのか、初心者にとっては迷うポイントでしょう。
半紙は裏表どちらも真っ白な見た目なので、パッと見では判断できないことも多いのが特徴です。そのため、基本的に裏表は、触ったときの感触で判断します。つるつるとした感触があるのは表、そしてざらざらとした感触があるのが裏です。基本的に、初心者や学校教育で習う習字の場合は、表を使って字を書いていきます。
半紙の裏面は、単純に使わない方の裏面として存在しているわけではなく、上級者こそ裏面を使って書道を楽しむことは少なくありません。
ざらざらとした紙の表面を活かして筆を走らせることで、柔らかい印象の表現ができたり、あえてかすれた表現をしたりなどの「味」や「個性」が生まれるのが特徴となります。
ただ、お伝えしているように裏面を使った書道は上級者向けなので、初心者ではにじみやすく感じたり、かすれてうまく書けなかったりなど、思ったように扱えないことが多いです。書道をこれから始める人は、まずは表を使ってきれいに書く基礎を楽しんだうえで、裏面を使って個性ある表現を追求するようにシフトするとよいでしょう。
渇筆とは何か?その魅力を知って楽しもう
渇筆(かっぴつ)とは、書道における表現方法のひとつです。あえて墨の量を少なく調節することでかすれが生じ、味を出す手法です。通常、初心者の書道や学校教育で習う習字では、楷書をきれいに正しいかたちで書くように教えられるため、あえてかすれの表現を使うことはありません。
しかし、上級者になればなるほど、こういった個性ある表現を使うことは増えていきます。半紙の裏を使ったスタイルだと、よく墨がにじむ部分とそうでない部分がきれいに分かれるため、渇筆になりやすいのも特徴です。
ちなみに、しっかりと筆に墨を入れた状態で書くこと、あえてにじませる表現をして書くことを「潤筆(じゅんぴつ)」といいます。
渇筆を楽しむなら紙はどう選ぶ?適した紙の製造方法・おすすめの和紙
渇筆は上級者向けの表現になります。このため、紙の種類や材質もよくチェックしたうえで、適した半紙を選ぶことが大切です。和紙の製造方法は手漉きか機械漉きの2つのパターンがあります。より品質がよく高価なものを選ぶなら、様々な表現が楽しめる手漉きの紙がおすすめです。キョー和で取り扱う和紙は、以下のようなものがあります。
銀河箋 全紙 100枚
手漉きの画仙紙です。にじみにくい書き味が特徴となっており、楷書・行書・古典臨書に向いています。
福寿半紙 1000枚 (伊予)
機械漉きの改良半紙です。機械漉きでも手漉きのような品質のよさ・書きやすさが特徴で、原料には三椏を用いています。
香梅半紙 1000枚
手漉きの半紙です。にじみにくく、ほどよい厚みが特徴となっているため、渇筆を楽しむ際にもおすすめです。
渇筆を楽しむなら素材でわかる紙の選び方をチェックしておこう
半紙や画仙紙の種類は、素材や厚みによって異なるため、どれを選ぶべきか一概にはいえません。ただ、せっかくなら選び方のポイントを押さえて、最初に紙を用意するときの参考にしておきたいところです。
まず、渇筆の際には、一般的に紙の厚みで書きやすいかどうかが判断できます。例えば厚みのある半紙であれば、筆をすらすらと軽く動かすことが難しくなるため、それに伴ってかすれの表現もつけやすくなります。また、にじみにくい素材の紙も適しているといえるでしょう。
また、かな書道をするか、漢字書道をするかで適した紙を判断することもできます。にじみにくい和紙はかな書道に向いていて、一方でにじみやすい唐紙は漢字書道に向いているのが特徴です。
書道を楽しむなら半紙の裏表に関する知識はつけておこう
書道で使う半紙は、触ったときの印象で判断します。基本的に初心者は表面を使いますが、上級者の場合は、裏面を使ってあえて味のある書き味を楽しむことも珍しくありません。
書きやすく品質のよい半紙や画仙紙をお求めの際には、キョー和の通販をご利用ください。渇筆におすすめの紙も取り扱っております。