書道に使う墨と聞いて思い浮かべるのは、硯で磨る固形の墨と、ポリ容器などに入っている液体の墨の2種類があるはずです。書道の世界では、前者のものを固形墨、後者のものを墨液や墨汁と呼びます。両者の特性や違いについてご紹介します。

墨液と固形墨の違いは、その粒子の大きさにあります。墨液は、基本的に一つひとつの墨の粒子が細かく、均一なことが特徴です。粒子が均一なため、色合いも一定できれいに書くことができます。

一方、固形墨は、墨の磨り方によって粒子の大きさを変えることが可能です。そのため、文字を濃くすることで重厚感を出したり、淡くして立体感を出したりといったことが可能になります。

また、保存期間にも違いがあり、固形墨は長期保存が可能なのに対し、墨液は保存期間が比較的短いことが特徴です。そのように聞くと固形墨の方が優れているように感じるかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。

墨液は使いたいときにすぐ使えますが、固形墨は磨るのに時間がかかってしまいます。そして、固形墨はその性質上、滲むと見栄えが悪くなってしまうのも懸念点の一つです。

このように、固形墨と墨液は書道のための墨という点は一致しているものの、両者の間には多くの違いが存在しています。そのため、どちらが良いのか、好みや作品に合わせて選択することが大切です。

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