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  安本　春湖（1872-1930）は、西川　春洞の門に学び、 特に篆書を研鑚して、周漢の金石から、宋元明清の 印文までに通暁した。世に実用に適する篆書字典の ないのを遺憾として、『新篆書字典』を、大正13年に著した。

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  単に従来の篆書だけでなく、辻、榊などの国字や、一般に 通用している文字で、篆書のない文字を、篆書の法則に 従って新たに書きおこし、篆書を一部書家の物でなく、 広く一般に使用し得るものとし、その収録文字は 一万二千字を越えた。

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  『新篆書字典』には、新補の字も多い一方、旧来の篆書で 今日日本ではほとんど使用される事のない文字が過半数 含まれている。また、現在多用されている文字で欠けている 物も多い。本字典は、原著者の意のあるところに沿って、 JIS規格第一水準に含まれる多用文字、及び人名文字の尽くを 収め、これに含まない特殊な文字を削除して纏めた物である。 原著に不足する文字は編集部で補った。

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